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賃料上げ続く2026:家賃更新動向と借主対応の実務
2026.03.19

円安による資材費高騰を背景とした建築費用の上昇などを受け、新築分譲マンションの価格が上昇しています。これに伴い需要が増した中古物件価格や賃貸物件の賃料も上昇傾向にあります。
今回は、家賃の更新をテーマに市場動向と更新時のポイントを紹介します。
賃料上昇が続く背景と交渉のポイント
都市部を中心とした賃料の上昇傾向は、需要増だけが要因ではありません。円安などを理由とした建築費用の上昇は、そのまま物件オーナーが負担する物件全体の修繕費用や設備費用の上昇につながります。また、近年続く地価の上昇により固定資産税の評価額も上昇しており、物件オーナーは、これらの負担増を補うために、契約更新時や新規契約時に賃料の値上げに踏み切るケースが増えています。
賃料の値上げは業界全体の流れではあるものの、借主にとっては負担が大きくなることから交渉は難航するケースが少なくありません。

更新期におけるオーナー・管理会社の戦略
入居者にとって抵抗感があるのは、住み始めたときよりも賃料が上がってしまうことです。新規契約する入居者の賃料を値上げすることは、あらかじめその賃料だと知った上で入居することになるので問題ありません。ただし、近隣相場を無視して賃料を必要以上に上げてしまうと入居者自体が現れなくなるので注意が必要です。
物件オーナーにとって、空室率を下げることは非常に重要です。更新タイミングで賃料の値上げを提案し、入居者から拒否されて退去につながることは可能なかぎり避けなければなりません。例えば、入退去が少ない閑散期に更新をする人が値上げを理由に退去になれば、次の入居者が決まるまでに時間がかかりやすく、総合的に見れば賃料を値上げしない方が収益は高くなるというケースも起こりえます。
そのため、賃料の値上げをする際は、退去リスクをいかに少なくするかが重要になります。ポイントとなるのは、「入居者に賃料が高くなっても住み続けたい」という入居者満足度の維持と向上です。

借主視点で考える「安心して住み続ける条件」とは
物価の高騰などの社会情勢を理由に賃料を値上げすることは、入居者によっては受け入れづらいケースもあります。そこで検討したいのは、賃料を上げる代わりに設備を充実させたり更新したりすることです。
例えば、宅配ロッカーの設置は比較的安価に行えます。集合ポストを通販にも対応できるサイズの大きなものにする、鍵がかかるものにするなども費用を抑えて行える設備投資です。宅配ロッカーの設置は、日中ほとんど自宅にいない人は必須の条件としているケースもあります。設置を行うことで、物件情報サイトへも掲載できるので、より広い層にアプローチできるので、今後の入居者確保にもつながるでしょう。
また、近年の高い防犯性への需要をふまえて、防犯カメラの設置やTVモニター付きインターフォンへの更新、エントランスがあるならオートロックの設置なども検討してみることをおすすめします。これらはすべて入居時の必須条件としている人が多い人気の設備なので、将来的なことを考慮すると費用対効果は高いといえます。
その他には、入居者の費用負担をなるべく抑えられるよう、賃料を値上げするかわりに、更新料を減額するなどの方法も挙げられます。
また、異なるアプローチ方法として、近年では、更新のタイミングでスムーズな賃料上昇ができるよう、普通借家契約ではなく定期借家契約を選択するオーナーも増加しています。定期借家契約であれば、再契約は可能なものの、その際は新賃料の設定が行えるため、賃料相場の変動に対応しやすくなります。大学周辺の物件など、数年での入退去が一般的なエリアであれば、今後の選択肢として、検討してみる価値はあるといえます。

