コラム

賃貸

東京の賃貸市場:居住者のニーズとトレンド

2024.12.01

コロナ禍が落ち着き、新型コロナウイルスが感染症法上の5類に分類されてから1年半ほど経ちました。
現在はどのようにニーズや市場が変化してきているのか、東京の賃貸ニーズやトレンドを紹介します。

 

 

 

 

 

 

テレワークもできる家のニーズは続く

 

コロナ禍をきっかけにテレワークは急速に広がりました。しかし、多くの企業では業務効率や生産性の観点から、勤務方法をテレワークに限定せず、1週間のうち数日ないしすべての日において出社しての業務を課すケースが増えています。とはいえ、出社勤務とテレワークを並行して実施している企業も多く、現在も賃貸物件では複数の部屋がある、クローゼット内にコンセントがあるなどの、仕事ができるスペースがあることへの需要は高くあります。

 

つまり、都心回帰への動きはありつつも、テレワーク対応への需要も引き続き高いという新たなニーズが生まれている状態です。

 

 

 

 

 

 

賃貸マンションの需要増

 

首都圏を中心に公示地価は上昇し続けています。さらには建築費や資材や人件費も高騰しています。コロナ禍で一時的に地価は下がりましたが、現在はコロナ前よりも価格は上昇しています。これらの状況は、分譲マンションの価格の高騰につながり、結果として、賃貸マンションのニーズが高まっています。

 

賃貸マンションの高まるニーズは、物価上昇も後押しし、賃料にも反映されてきています。総務省が発表している「2020年基準消費者物価指数」では、2020年の数値を100として物価が数値で表されています。全体的な物価上昇が見られる中、家賃を表す指数(民営家賃)は2023年に100.1で25年ぶりの前年比プラスを記録しました。

 

この傾向は継続しており、2024年8月、9月は、連続で前年比プラス0.3%となっています。東京都区部に限定すると、9月は前年比プラス0.7%、10月は前年比プラス0.8%となっており、東京を中心に家賃上昇傾向が強いことが分かります。

 

 

実際に更新のタイミングや新規入居のタイミングで賃料の値上げを実施するオーナーも増えてきています。ただし更新のタイミングでの交渉に失敗し、入居者が退去してしまうリスクは無視できません。例えば、8万円の賃料を8万4000円へ5%アップしようとして、交渉が上手くいかず退去につながってしまった場合、新入居者が1か月後に見つかったとしても、空室となった1か月分の8万円の赤字を回収するには次の入居者が最低20か月住み続ける必要があります。
 

賃料の値上げタイミングを更新時とするか新入居時とするかは慎重な判断が必要でしょう。
 

 

 

 

 

増え続ける在留外国人への対応で空室対策 

 

法務省管轄の出入国在留管理庁によると2023年末時点の在留外国人は341万992人でした。これは前年末比プラス33万5,779人で2年連続で過去最高を更新しています。東京都では66万3,362人で、前年末比プラス6万7,214人でした。

 

在留外国人とは、3か月、1年、3年、5年といった一定期間、留学や技能研修などを理由に日本での活動が認められている外国人のことです。

 

アパート・マンション経営の面からは、外国人入居者の在留期限は気になるところでしょう。しかし、在留外国人のうち永住者と特別永住者を合わせると全国で約117万人もいることを考えると、在留外国人の多い地域では、現在外国人不可の物件でも、条件次第で外国人の入居を可能にすることの検討をする価値はあるかもしれません。

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