コラム

不動産市場

日本の不動産市場2024~2025年の展望

2024.12.08

 

少子高齢化が進み、日本では既に人口減少が始まっています。そのような状況において、不動産業界にも大きな関わりがあるのが「2025年問題」です。今回のコラムでは、2025年問題から考察される今後の住宅市場について紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

2025年問題とは

2025年問題とは、1947~1949年生まれの団塊の世代の全員が75歳以上の後期高齢者となることを要因として生じる、さまざまな社会問題のことです。団塊世代は第一次ベビーブームに生まれた世代であるため日本の総人口に占める割合が大きいのが特徴で、2025年には後期高齢者の割合が人口の18%を超えると予測されています。

 

つまり、これまで以上の高齢化が加速することによって、さまざまな状況に変化が生まれてくることになります。状況が変化するのは、不動産業界も例外ではありません。

 

 

 

 

 

 

不動産業界における2025年問題の影響

2025年問題によって住宅市場が受ける影響としては、「高齢化の加速」がキーワードになります。高齢化はこれまでも進行していたので、今までになかった課題が生み出されるわけではなく、これまでの傾向がより顕著になっていくと考えるのが妥当でしょう。具体的には「空き家の増加」「需要と供給のバランスの変化」の2つが挙げられます。

 

 

 

 

 

 

空き家数は過去最多を記録

総務省が2024年4月30日に発表した「住宅・土地統計調査住宅数概数集計」 によると、日本の空き家数は約900万戸と過去最多を記録しました。これは前回集計の2018年から約51万戸の増加で、空き家率も13.8%と過去最高を記録しています。

 

空き家のうち、賃貸や売却、セカンドハウスなどとしても使用されていないものは「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」に区分され、その数は約385万戸です。こちらは5年間で約37万戸増加しています。空き家の中には適切な管理がされず、放置されているものも多くなります。倒壊の恐れや衛生的に問題が発生するといった、いわゆる空き家問題が増加しています。

 

団塊世代の多くは自宅を所有しているため、親から相続した空き家には住まず、遠方であれば管理もできないといった問題から、売却に出される物件が増加する可能性があります。2024年4月からは相続登記が義務化された影響も受けるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

中古物件の価格下落と新築物件の価格高騰

人口減少や空き家増加から、物件の供給が増え、需要が減ります。特に都市部以外の地域では売却物件が供給過多になり、価格の下落が予想されます。

 

一方で、新築物件は既に価格の高騰が始まっています。これは地価と建築コストの上昇、そして東京をはじめとした利便性の高い地域への需要の高まりが影響しています。近年では新築物件の省エネ基準への適合が求められ、税金の優遇措置である住宅ローン控除の条件にもなっています。このことからも、建築コストはこれまで以上に高まることが予想されます。

 

 

 

 

 

 

賃貸物件は需要増、都市部以外は空室対策がより求められる

新築物件の価格高騰を受け、2人暮らしやファミリー向け物件を中心に、賃貸物件へのニーズは高まっています。しかし少子高齢化が進む中では、時代や生活様式の変化に合わせてニーズを把握し、空室対策を検討することも必要です。

 

具体的にはテレワークしやすい物件へのリフォーム、家賃保証会社を利用し、高齢者や外国人も入居可能にするなどの方法が挙げられます。特に人口減でこれまで以上に住宅への需要が小さくなる地域においては、空室対策は必須となるでしょう。

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