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退去後の原状回復費用、誰が負担する?ガイドラインをわかりやすく解説
2026.07.30
入居者の設備や室内の使用方法、経年劣化に伴い、退去後に原状回復が必要となるケースは少なくありません。
この際の費用負担については国土交通省から「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が示されています。
このガイドライン自体は法律ではないものの、トラブル時の話し合いや裁判においても参考にされることがあるほど、重要な目安となっています。
今回は原状回復の基本ルールと、ガイドラインの内容についてわかりやすく解説します。
原状回復は住む前の状態に戻すことではない
原状回復という漢字のイメージから、多くの入居者が「住む前の状態に戻すこと」を原状回復だと誤解しがちです。
ガイドラインでは原状回復について「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、
賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義されています。
シンプルに言えば、故意や過失の部分、普通に使っていれば起きなかったような損傷などについては元に戻そうということです。
そしてここには経年劣化や耐用年数も考慮されます。5年住んだとしたら5年分は室内の壁や床、設備の価値は目減りしています。
5年後の退去時は、普通に使っていた場合の5年後のレベルの価値相当まで回復させればよいため、経年劣化で目減りした分を入居者が負担する必要はありません。
言い換えると、普通に使っていて、故意や過失で部屋を損耗させるということもなかったのなら、
原状回復費用を入居者が負担する必要はありませんし、通常の生活をしていれば避けられない汚れや劣化も入居者負担で元に戻す必要はありません。
通常の使用で発生する汚れや劣化の例
ガイドラインでは、生活する上で避けられない汚れはオーナー負担、不注意によるものは入居者負担と明確に区別されています。
それぞれの具体的な例を見ていきましょう。
例えば、日焼けによる壁紙や畳の変色、家具の設置による床のへこみ、テレビや冷蔵庫などの後部壁面の黒ずみ(いわゆる電気ヤケ)、
エアコン設置によるビス穴などもガイドラインで通常の使用で発生する劣化として挙げられています。

一方で、タバコのヤニによる壁紙の変色やペットによるにおいやフローリングの傷などは、
たとえ喫煙可・ペット可の物件であっても通常の使用を超える部分とされ、耐用年数に応じた原状回復費用が発生するのが一般的です。
また、床やカーペットに飲み物をこぼしてしまい、シミやカビにつながった場合も、液体をこぼしてしまうこと自体は通常の生活でよくあることではあるものの、
その後の手入れを放置したり手入れ不足だったりしたことが原因と考えられるため、入居者負担での原状回復となります。


通常の生活には、通常行う「清掃」も含まれています。換気扇やコンロ周りの頑固な油汚れやすす、結露を放置して拡大したカビやシミなど、
通常行う清掃や手入れを怠ったために生じた損耗については原状回復費用の負担が必要になるでしょう。
契約書の内容によっては通常の使用にも費用負担が発生
通常は入居者が費用負担する必要がないものであっても、契約書の特約の内容によっては費用負担が生じるものがあります。
例えば、破損や鍵紛失ではなく、入居者の入れ替えによる鍵の交換は物件管理上行うものなので、入居者負担ではなくオーナー負担とするのが妥当とされます。
通常の清掃が行われている場合の退去後のハウスクリーニング・エアコンクリーニングについても同様です。
しかし、これらを退去時に規定の金額で請求する旨が賃貸借契約書の特約にあれば、入居者がその費用を負担することになります。
耐用年数を超えれば何をしてもよいわけではない
原状回復費用の負担について示したガイドラインでは、耐用年数が重要なキーワードとなります。
物は経年劣化するため、それに応じて価値が限りなくゼロに近づきます。
例えば壁紙は耐用年数が6年とされていますが、設置から(耐用年数は入居からではなく設置日からカウントします)6年を超えたからといって、
破ったり落書きをしたりしてよいわけではありません。確かに6年を超えた時点で壁紙自体の価値はほぼゼロです。
しかし、破損や落書きをしたことによってオーナーは新たに壁紙を設置する必要が生まれます。その際、価値がゼロとなった壁紙代ではなく、新たな壁紙設置のために業者を呼ぶことによる工事費用などは入居者側に請求されます。
原状回復費用は、退去時にトラブルになりやすい点です。トラブルを避けるためには、ガイドラインを確認しておくことも重要ですが、
契約書や特約の内容の確認、入退去時の写真や動画を残すことも忘れずに行うようにしてください。